アジア法学会 春季研究大会(終了)

投稿者: | 23/11/2014

日時 2015年6月20日(土)21日(日)
場所 国際基督教大学(東京)

内容

6月21日(土)午後

個別報告

「アジア家族法研究の現状と課題」
報告者 小川富之(福岡大学)
伊藤弘子(名古屋大学)
大川謙蔵(摂南大学)
日本における法学研究では、これまでに欧米先進工業諸国を対象に比較法的に検討をすることが多く行われ、その成果が公表されてきた。このような研究をさらに発展させることは非常に重要であるが、日本と地理的に近く、生活様式等において共通点も多いアジア諸国の法制度の研究の必要性も益々強くなっている。その意味では、「アジア法学会」は重要な役割を担っており、これまでに大きな成果をあげている。
家族法の領域では、前述の視点に加えて、日本における国際家事事件の解決および外国にいる日本人の国際家事事件の解決にとっての、実務的必要性から、諸外国の家族法制の理解が必要とされている。「外国(身分関係)法制研究会(旧アジア家族法研究会)」では、このような実務的視点に立って、諸外国の家族法制の概要および法制の紹介を目的として、外国法研究の視点での研究を続けている。研究会では、当初「アジア諸国」をその対象として研究成果を公表してきたが、その後対象を広げ、日本とかかわりの強い国で、これまで先行研究のあまり多くない国をその対象に加えて研究を発展させてきた。
本報告では、次のようなポイントから、これまでの研究会の活動について報告し、これからの課題について検討したい。

【報告項目】
1 はじめに
2 アジア家族法研究
(1)アジア家族法研究の意義
日本における国際家族問題への法的対応
国際裁判管轄の問題
日本の裁判所における国際家族問題に適用される準拠法の問題
これまでに研究会で提供した鑑定意見等の紹介
(2)アジア家族法研究の現状
「アジア家族法研究会」から「外国(身分関係)法制研究会」への改変
研究会の対象とする法領域について(家族法の概要・法典の抄訳・事例研究等)
これまでの研究成果の紹介
(3)アジア家族法の特色
アジアの国と地域の特色
人的不統一報告の特色
イスラム法の特色

「千葉法学の本流と支流――追悼出版プロジェクトにあわせての再論」
報告者 石田慎一郎(首都大学東京)

千葉正士の〈人間と法〉研究の可能性ついて、次のふたつの立場から議論する。第一に、法主体、三ダイコトミー、アイデンティティ法原理を中核とする法理論を到達点として法の大海へと注ぐ、千葉法学本流のエッセンスについて議論する。第二に、本流に注ぐ多数の支流のうち、法人類学的視点からとくに重要と思われるものについて議論する。すなわち、アジア法研究とアジア法学との区別、固有法概念の歴史性、法主体概念の区別、紛争類型論、法文化概念の多義性、などである。多種多様のアイディアを運ぶ、それら複数の支流の所在を認めることで、千葉法学本流の姿を水系全体のひろがりのなかで理解することができる。

6月21日(日) シンポジウム「アジアの議会政」

報告者 孝忠延夫(関西大学)
加茂具樹(慶応大学)
島田弦(名古屋大学)
浅野宣之(関西大学)
岡田信弘(北海道大学)

近年、憲法学、比較憲法学、政治学において、議会政(議会制)研究が隆盛を見せている。その要因・問題意識としては様々な論点が指摘できる。熟議民主政論の勃興、リベラル・デモクラシー論の再評価、直接民主制に対する議会制民主主義論の位置付け、国会中心主義対内閣中心主義、コンセンサス型デモクラシー対多数支配型デモクラシー、「民意」の直接表明と選挙を通じた「民意」、グローバル化による国家主権の相対的低下に伴う議会の地位低下、議会政(議会制)を支える政治家と政党の腐朽と劣化、政治不信と政治的無関心の蔓延、選挙制論と政党法制の再検討、議会審議の活性化と議会の本来的役割の考察などである。

本シンポジウムは、議会政の可能性を探る総論報告を受けて、個別報告においては、中国を対象にした党国家体制における国民代表機関の可能性、インドネシアを対象にした国民協議会のインドネシア憲法における位置づけ、両院制の比較憲法的研究の観点からのアジアの両院制研究への示唆、インド議会制の現状と動態を検討する(報告論題は現時点では仮題です)。

本企画は、執行権の強大化の下で相対的な地位低下に悩んでいる議会をどのようにして国民主権機関として復権させていくのか、民主化の進展しつつあるアジア諸国において議会制民主主義をどのようにして実質化していくのかを考察して、あるべき議会政治のありかたを模索し展望するという問題意識のもとに、議論を深め、論点を明確にして、アジア法学会のシンポジウムとしてふさわしい内容のものにしていきたいと考えている。会員の皆様の積極的な参加を心よりお願いします。
以上