2015 アジア法学会秋季研究総会

投稿者: | 15/10/2015

日時: 2015年11月14日(土)・15日(日)

場所: 明治大学駿河台校舎 リバティタワー
(1日目)1087合教室(8階)、(2日目)1064号教室(6階)
※1日目と2日目で教室が異なりますのでご注意ください。
キャンパスへの交通案内 http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
キャンパス地図 http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/campus.html

プログラム

1日目 11月14日(土)午後

個別報告

13:30受付開始 14:00~17:00終了予定

第1報告「中国成年後見制の改革の現状と課題──山東省の事例を素材にして──」
市川英一(日弁連法務研究財団)

第2報告「韓国約款規制法~競争法と消費者法の交差路」
松尾和彦(ソウル大学博士課程修了)

第3報告Is Constitutional Adjudication Undergoing a Sea Change? – Foreign Precedents and Constitutional Interpretation in Singapore
クーロン・ダヴィッド(南山大学)

17:00 終了予定

17:30 懇親会(会費5000円)

2日目 11月15日(日) シンポジウム「アジアの議会政」

9:30~17:00(受付開始9:30)
※総会(13:00-13:30)がありますのでご出席お願いします。

総論報告 「議会をめぐる制度・機能・基盤」
只野雅人(一橋大学)

各論報告①「日本の議会政」
高見勝利(上智大学)

各論報告②「韓国の大統領制における国会の機能」
國分典子(名古屋大学)

各論報告③「アジア諸国の両院制」
稲正樹(国際基督教大学)

各論報告④「一党支配体制における党と議会の関係―ラオスの地方行政を中心に」
瀬戸裕之(名古屋大学)

全体討議

報告要旨

第1報告

市川英一「中国成年後見制の改革の現状と課題──山東省の事例を素材にして──」
要旨 高齢化社会を見据え、従来の禁治産・準禁治産の制度を全面的に見直し、新たに後見・保佐・補助の制度を創設する成年後見制が開始されからすでに15年以上の歳月が流れた。ただし、この制度が十全に機能しているとは言い難く、ほぼ同時期にスタートした介護保険制度に比して、認知度や利用度の低さが指摘され、成年後見人の育成体制の整備も遅れている。こうした点を踏まえ、現在法改正に向けた議論が本格化している。
ところが、この日本の成年後見制を自国の法改革のモデルとすべきことを主張するアジアの国がある。今後日本を上回るスピードで高齢化が進むと予想されている、人口大国の中国である。
中国では、そもそも高齢化社会のインフラとしての成年後見制という意識が希薄で、これまでは精神疾患を有する者や痴ほう症患者のみがその対象とされ、広く後見を必要とする成年者全般を対象とする制度構築の必要性が意識され始めたのは最近のことである。そのため、この問題をめぐる立法や研究が立ち遅れ、学界での議論も低調であった。
しかし、中国が今後高齢化社会に突入することが誰の目にも明らかになるにつれ、高齢化社会を意識した成年後見制への改革の必要性が認識されるようになり、裁判実務においても、これまでの制度では現実に生起する問題に対応できないことが明らかにされつつある。学界においては、成年後見制研究が「ブーム」(トレンド)になっていると言われるほど、議論が盛んに行われており、とりわけ、日本の成年後見制に見習うべきことを説く若き大学院生の論考が多いことに驚かされる。
「国際連合の障がい者の権利に関する決議」の署名国として人権後見モデルによる成年後見制を確立し、自己決定を尊重して任意後見契約を主要な後見創設方式とし、法定後見においては日本型の後見、保佐および補助という三類型を新設すべきことを提唱する見解(李霞教授)、私的自治の理念を重視しつつ、国および社会による後見監督義務を強化して、私的後見、公的後見および社会的後見の合力による制度構築の必要性を説く見解(陳葦教授ほか)、親族のみならず社会組織(法人)が後見人に就任することを認め、適切な後見人が存在しない場合には行政部門が後見人に就任すべきことを明確にし、成年被後見人の権利利益を適切に擁護するためその一人ひとりに後見(世話)監督人を付けるべきことを説く見解(李国強副教授)などが主張されている。
ただ、学者の議論をみているだけでは、なかなか中国の成年後見制の実情は浮かび上がってこない。やはり、定点を観測し、当該地域の特色を踏まえつつ、成年後見に関わるサンプルを集め、そこからこの問題をめぐる現状と課題を抽出するという作業が不可欠であるように思われる。
そこで本報告では、沿海部の経済発達都市という顔と内陸部の中国屈指の農業生産地域としての顔を併せ持つ山東省を対象に、交流のある同省煙台大学法学院の関係者からご提供いただいた関連文献資料を素材にして、中国成年後見制改革の現状の一断面を浮き彫りにし、今後の課題を探ってみたいと思う。

第2報告

松尾和彦「韓国約款規制法~競争法と消費者法の交差路」
要旨 韓国の約款規制法は事業者の約款利用に伴う消費者被害の拡大が契機となって制定されたものですが、約款を利用する事業者の取引の相手方を最終消費者に限定しない(つまり、事業者相互の取引にも適用される)ということから、同法は、消費者法の領域と競争法(特にフランチャイズ契約など)の領域が交差するところと言える。そこで、同法の運用実態を分析することを通して、同法が実際に消費者法・競争法という法領域の枠を越えて適用され、より広く「取引上優位に立つ者の約款利用による横暴を防ぐ道具立て」として機能していることを明らかにする。

第3報告

クーロン・ダヴィッド
Is Constitutional Adjudication undergoing a Sea change?: Precedents and Constitutional Interpretation in Singapore

Singapore has an impressive record when it comes to look for and adapt the best the world can offer in almost any matter. But surprisingly such a pragmatist attitude is hardly to be found in the arena of constitutional interpretation. Recently though the number of constitutional law cases before the Singapore courts has been on the rise even leading to landmark decisions such as Tan Eng Hong (2012) and Lim Meng Suang (2014) challenging the ban on homosexuality, Vellama (2013) denying the Prime minister unfettered discretion in the calling of a by-election or Yong Vui Kong (2015) challenging the practice of sentencing of caning. Does however this inflation indicate a shift in the legal and political culture of Singapore? Despite an obvious willingness for citizens to challenge the state, and for judges to engage with constitutional ideas and norms in adjudicating between citizens and the state, judicial approaches to constitutional interpretation in Singapore may yet be characterized by the deeply-rooted “Four Walls” doctrine officially declared in Colin Chan (1996) and reiterated in Chee Siok Chin (2006). While Singaporean judges, well-known for their highly deferential attitude towards the Executive and the Legislative branches, have always cited foreign case law, they have often applied their solutions with due circumspection so long as the initial constitutional framework was close enough to Singapore’s own arrangements and without any thorough understanding of the underlying reasoning. Through a review of scholarly literature on Singapore constitutional interpretation and its reference to foreign precedents, followed by a sound analysis of how these are being dealt with in the most recent cases, this communication will assess the latest trend in constitutional adjudication in Singapore in order to determine whether foreign jurisprudence is still cautiously kept at bay or more decisively referred to.

シンポジウム「アジアの議会政」趣旨説明

近年、憲法学、比較憲法学、政治学において、議会政(議会制)研究が隆盛を見せている。その要因・問題意識としては様々な論点が指摘できる。熟議民主政論の勃興、リベラル・デモクラシー論の再評価、直接民主制に対する議会制民主主義論の位置付け、国会中心主義対内閣中心主義、コンセンサス型デモクラシー対多数支配型デモクラシー、「民意」の直接表明と選挙を通じた「民意」、グローバル化による国家主権の相対的低下に伴う議会の地位低下、議会政(議会制)を支える政治家と政党の腐朽と劣化、政治不信と政治的無関心の蔓延、選挙制論と政党法制の再検討、議会審議の活性化と議会の本来的役割の考察などである。
本シンポジウムは、議会政の可能性を探る総論報告を受けて、個別報告においては、中国を対象にした党国家体制における国民代表機関の可能性、インドネシアを対象にした国民協議会のインドネシア憲法における位置づけ、両院制の比較憲法的研究の観点からのアジアの両院制研究への示唆、インド議会制の現状と動態を検討する(報告論題は現時点では仮題です)。
本企画は、執行権の強大化の下で相対的な地位低下に悩んでいる議会をどのようにして国民主権機関として復権させていくのか、民主化の進展しつつあるアジア諸国において議会制民主主義をどのようにして実質化していくのかを考察して、あるべき議会政治のありかたを模索し展望するという問題意識のもとに、議論を深め、論点を明確にして、アジア法学会のシンポジウムとしてふさわしい内容のものにしていきたいと考えている。会員の皆様の積極的な参加を心よりお願いします。

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